乾いた現実/ヒヤシンス
 
こそ乾いた現実だ。

現実の中で私はリー・モーガンを聴いている。
現実というものは驚くほどいつも乾いている。
そこに人々の湿った感情が加わって私は思わず涙が出てしまう。
あなたはそんな私を見るなりたまらず苦笑するだろう。

しばらく時は静かに去って、いつしか私の記憶も薄れてゆくだろう。
人々の姿は透けてゆき、私自身も消えてゆくだろう。
であるならば私はこれからも託さず描いてゆくだろう。
この乾いた現実の中で。

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