されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
 
つまでも震えているわけにはいかない
     記憶の中で時は止まり
     街は永遠の輝きを放っているけれど
     私たちは
     六千のいたましさと
     六千の悲惨を
     ひとつひとつ数え始めなければならない
     時を刻む針で縫い合わせなければならない
     この悲劇と喜劇をひとつのものとして
     未来の私たちの街の敷石として
     しっかりと誤りのない位置に
     置かなければならない

     記憶の中の空
   
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