笹舟/そらの珊瑚
早瀬のそばの竹やぶに
住んでおりましたので
笹舟を流しては遊んだものです
手を離すと同時に
それは勢いよく
旅立っていきました
赤い橋をくぐるまでは
なんとか目で追うことができましたが
それから先を見ることはできませんでした
不安定な面持ちだけれども
案外沈まないで
多くのものたちが
海までたどりついたことと思います
きっと海には数え切れないほどの
わたしの笹舟が
今も解体されずに浮かんでいることでしょう
舟には何も乗せなかったつもりでしたが
或いは
とても大切なものを乗せていたのかもしれません
私は引越し
早瀬は昔話になってしまいました
新しい川は
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