夜の風/无
夜の風に呼びかけられて
居心地の良い部屋を捨てる
駄目な方へと向かう本能
どこかで赤ん坊が泣いている
綺麗な花を上からのぞいても
ダ・ヴィンチの要塞都市を連想する
そんな思考に石を投げられて
いつも夜の中を歩いていた
国籍と匂いを区別できない
資格と愛情を分離できない
青い空に浮かぶ雲はすべて怪物
だから夜の中を歩くしかない
暗い空は雨を孕んだ雲ばかりで
星はすべて食い尽くされている
零れた墨が微かに波打って
ただ虚無だけが流れている
歩きまわる内に世界は迷路になり
方向も目的もすべて剥がれ落ちる
見上げれば一羽の大きな鳥が
夜への同化を拒んで
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