孤独な王子とヒトクイバナ/愛心
 
あの夜のことはあんまり覚えていない。

ぐらんと城が揺れて、母上様が庭に伏したと思ったら急に明るくなって花畑は火の海になった。
じいやが早口で何かを捲し立てて、僕は非常時の為の地下シェルターに放られた。足下で鼠が鳴いてた。
直に、人の声がどんどん頭の上に集まってきて、出ようと扉を押しても微かにも動かなくて仕方なくその場に座り込んだ。扉の真上からは花火の音がしてた。ぴゅうん、ばあん。ぴゅうん、ばあん。

眠って、お腹が空いたらカサカサのパンを食べて、また眠った。扉の隙間から水が滴ってて、それを飲んだ。
どれくらい経ったか分からない。
カサカサのパンがなくなって、お腹が空いて、扉を
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