贅沢者/中山 マキ
 







拾われないまま
触れられないまま
腐ってしまっても

傷つけていい人など
傷つけられていい人など
どこにもいない

だけど本音を言えば
面白くもないのに笑ったり
思ってもいないのに褒めたり
疲れてしまう

きれいごとは
大抵、綺麗ではなくて
否定を他人に預けて
瀬戸際で救われる位置を
見極めているだけ

それでも
誰しもが悪口も言わない
礼儀正しい人々ばかりだったら
それはそれで気持ちが悪いし
生きた心地がしない

くるくる廻り、旋回する
矛盾が付き纏う自己否定
行きつく先が
たとえ地の果てであっても

わたしはあなたの
悪いところも、良いところも
好きだよ




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