はやにえ/
 
笑っている花瓶を床に叩きつけて
彼女の一日は始まる
すでに夕陽へのカウントダウンを始めながら
鼻歌交じりで自慢の髪に火をつける
深海魚の庭園から響いてくるベルの音
聞こえないふりをしないと食べられてしまう
(爬虫類の、目をした、あの人に、頭から)
愛しい人の顔をめがけて(ぬるぽ)
振り下ろされる鉄パイプ(ガッ!)
創造より破壊の方が容易いから
生きる意味があるし殺す価値もある
カレンダーの文字が次々に剥離して
彼女の血管に侵入していく
通りすがりのオーバードーズ
(じゃあ生まれてこなければ良かったのに)
結局は何も変わっていないことが判明しました
ただ視点が移動した
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