三ッ石にて/そらの珊瑚
太平洋の荒い波が
かつてひとつであった石さえも
みっつに分断させたのよ
小説家志望の女の子の戯言が
ここでなら
信憑性をもって
語りかけてくる
干潮時にだけ現れる
海の通路を渡りながら
海に溶けた塩は
なめればしょっぱいし
うっかり目に入ろうものなら
思わず悪態をつきたくなるほどの痛さだ
だけど真水では沈んでしまう塊が
塩水であるがゆえに
浮かび上がって踊ることがある
潮だまりに取り残された
奇妙な形の生き物は
(彼らからみたら人間のほうが奇妙な形であると思うが
必然の形というものはいつだって美しく奇妙だ)
神から与えられた日曜日を
のんび
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)