啓典の記憶/2012
を説き明かしました。
ギルグルは驚き仰天し、凄まじい速さでその場から姿を消しました。
火祭の喧騒がいよいよ近づいてくると、グラビティは薄ら笑いを浮かべて言いました。
「ねえ、カノープ、君には徴がある。聖なる徴さ。とても魅力的だ。僕は、君の徴がどうしても見たいんだ」
火祭の会場につくと、カノープは恥ずかしそうにしていましたが、とうとうグラビティに自らの内に秘めた徴を見せてしまいました。
グラビティはカノープの徴をじっくりと味わい、完全に徴を奪ってしまうとカノープをあっけなく火刑に処しました。
聖月蝕の夜、南天に輝く月が影に蝕まれる刻限に、火祭のお囃子は一際陽気さを
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