啓典の記憶/2012
 
ダには何も為す術がありませんでした。

ソルアスタの風貌と居場所を聞いたギルグルはまだら牛の町にある寺院ヤクルオーンまでひとっ飛びしました。
果たして、そこにソルアスタがいました。



ギルグルが来るのをまるで予期していたかのようにソルアスタは毅然としていました。
ギルグルがいいました。

「おまえは徴を持っているのだろう。聖なる徴を、おれにもよこせ」

ソルアスタはギルグルにいいます。

「他人の徴を奪ったところでたいした意味はない。それよりおまえ自身の徴に早く気付け。パノプティコンはおまえをだましているぞ」

そういってソルアスタはギルグルに徴のなんたるかを説
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