HAYABUSA/ハァモニィベル
 
 
 晩冬の、めずらしく快晴となった空に、恐ろしく強い風が吹いている。
 右には、頂の近い小さな山々が、ずっと横に連なって長く、左を見れば、向こう岸の近い細い川がどこまでも流れる。右手に見えている山の下裾と、左手に見える川の土手裾に、それぞれ、農家ではないありふれたごく普通の住宅が、木々や空き地、むき出しの線路やバス停、野草と花たちを立ち跨ぐ看板などと混じって、密度ほどよく、どこまでも、どこまでも現れてはまた消え、そしてまた現れては消える。その連続が向かい合う丁度その真中を貫いて、こんな田舎の街外れには、とても相応わない、贅沢な、かなり新しい、作られたばかりの、車幅四台分2車線の舗装道路が、ま
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