◎受胎/由木名緒美
 
潰しながら
人々は驚くほどそれを渇望している
朝の清浄な風にシャツをはためかせながら
その下では熔岩質の粘液が脇腹を垂れるにまかせ
拭っても消せない跡をこしらえては
皆が皆、そうであるのに
それこそが孤独な病だと信じている

お腹をさすり 雛の鳴き声に耳を澄ませる
お前、どうして私を選んできたの?
小さな嘴が腹をついばむ
「欲深い人間が必要だった。それでも赦されたいと思っているような。そうすれば、必死で私の信頼心にしがみ付いてくるでしょう?」

雛が訳ありげに羽を震わせた
私は肩をすくめて返事をする
脇腹をどろり、と粘液が流れた
私の卵はいつ孵るのだろうか
ほどよく罪深い処女が産まれるとよいのだけど
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