◎受胎/由木名緒美
 
混み合った雑踏を、お腹を庇いながらゆっくりと進む
おくるみに包まれた雛の存在に人々が気付いたら
群集は我先にと手を伸ばすだろう

雛は知を持たず、それでいて神秘に通じる鍵を持つので
その血は膨大な金を産む
もしも手懐けることが出来たなら
この街最大の見世物となることだろう

注意深くそぞろ歩きをしているが
たまに雛の存在を忘れて狂乱に血迷う時がある
そんな時でさえ、腹越しに伝わってくる温もりは純化された依拠心で私の心を落ち着かせ、決して乱れることはないのだった

雛は待っている
数え切れない具現の白昼夢が叫ぶ中
何を自らの終の住処とするべきか

愚かしさを踏み潰し
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