祖母の瞳は日に日に還る/亜樹
あら、また来たの、と祖母は言う。
ああまた来たよと私は答える。そうは言うものの、彼女が孫である私のことなどこれっぽっちも覚えてやしないので、私はまたいつものように自己紹介をした。
それがいつから始まったのかははっきりしない。思えばそれは叔母が意気揚々と祖母に食器洗濯機を買い与えた頃からではなかったのか。けれどもそれを言えば叔母が気を悪くするだろうから、私はずっと口をつぐんでいる。
食器位自分で洗えるわ、と祖母は確か憤っていたはずだ。思えば彼女はいつも怒っていた。子供心に「凛とした」とは祖母のことを指すのだと私は知っていた。
けれども今、彼女はいつもだらしなく笑っている。あなた
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