朝のキャンバス/ヒヤシンス
 

朝の心地良い風が優しく吹き込んでくる窓辺にほんの少し黄ばんだキャンバスを置く。
そこに描かれた幾重にも塗りたくられた意識の高揚をじっと見つめる。
その高揚の中には、自信と自惚れ、嫉妬と蔑み、夢と希望、絶望と破壊があった。
それは何より、私には選ぶ権利があったということを意味していた。

私が意識を自由に選択してそのキャンバスに色彩の花を咲かせていた頃でも、
あなたは世界のどこかを旅していて、時折寄越す手紙に機微を染み込ませてきた。
それは私を動揺させ、鈍感で曖昧な色を使うことを拒み、また許さなかった。
奇しくも今部屋を満たしているのは、完璧無比なバッハのカンタータだった。

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