運河の夜/藤原絵理子
りの住んでる山小屋から洩れてくる.外に人の気配を感じた木こりは,それがきみであることをちゃんと知ってる.で,言うんだ」
S:「ますます怪しい…」
H:「『ほら,やっぱり僕の言った通り,傘が必要になっただろ』,ってね」
19
S:「なんだ,木こりはあなたなの?傘1本でずいぶん引っぱるわねえ」
H:「そう.で,きみは,『あなたの言うことを聞いておけばよかったわ』なんて言って…」
S:「なーんか,オナカ空いちゃった.ここでゴハン食べない?」
H:「あ,腰を折られた…まだ,肝心なきみの分析結果を述べないと」
S:「いいから,いいから.入りましょうよ」
20
S:「少し風が出てきたわね」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)