運河の夜/藤原絵理子
S:「なーに,バカなこと言ってんの」
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H:「いや,意外と真実味あるかもしれないよ…何回か転んだんだろ?」
S:「それは,寒くて道路とか凍ってたからよ…あ,冬もキレイだろな,夜」
H:「昼間はダメでしたか?」
S:「ううん,昼間の雪景色もキレイだったわよ.積もった雪の上に,いろんな海鳥の足跡があったりして」
14
S:「ガラス屋さんのベンチで,少しうとっとした時,不思議な夢を見たわ」
H:「ひょっとして,それ,僕がきみの恋人になってるみたいな…」
S:「違う違う,そんなんじゃなくて,もっと…なんていうのかなあ,懐かしいような,切ないような,そんな夢」
H:「なんだ.残念
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