ライアーの娘/
 

いちばん最初についた嘘は
「ぼくはぬすんでない」だった
そこから始まるドミノ倒し
躓きなんてそんなものだ

大きな嘘に小さな嘘
許される嘘と許されぬ嘘
嘘で生きている奴らと
嘘に生き埋めにされる奴ら
神妙な顔をした役者たちが
意に反して喜劇を演じる
そのおかげで俺は気がついた
もちろんそれも嘘なのだが

本当のことは人を傷つけるだけ
抜いてはいけない刀のようなもの
反吐が出るほど安っぽい言い回し
そういうお前も青臭いガキだ
嘘で塗り固めた友情を信じ
嘘を練り込んだ愛情に溺れる
それらはタバコや安酒と同じくらい
この人生に欠かせないものだから

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