詩と死の私史/シホ.N
 


不惑の境地
たどるも遠く
惑いさまようことばかり

受けさずかった
生の還元
先をゆくのは
名もなきうた



青年期の血気
汗ばむいらだち
若気のいたり

言の葉つむいで
身魂けずって
痛々しさも
ある種の自慰



少年の日の密かな冒険
なにもわからず
ペンだけ動く

未来は見えず
自己の消失の
予感だけが
確かな実感



幼児の悲しみ
初めて知る
ままならない世界

生まれた途端
終末が始まる



逆流をたどり
生まれる以前に至れるか


逝く末この先
還る道
自覚なき
無への郷愁
往生の道


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