夏の終わり/なるせ
き裂かれる想いに身を馳せては
また一つの夢を見るのです。
その手が繋がれることを約束して
触れるたびに
こぼれ落ちていくのです。
大切な「何か」。
目を細めてもなにも見えないよ。
あの日追いかけた影は今はもう無いよ。
緑の葉が陽射しを遮って
光の粒を落とす。
芽吹いたばかりの新緑は何も知らず微笑むだろう。光に
ただの一つの疑問も抱くことなく微笑むだろう。
(あなたはどこにいるの?)
世界は終わらないだろう。世界が嘘で埋め尽くされても。
あり
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