夏の終わり/なるせ
気付きもしなかった。
こんなにも空が変わらずに流れていたこと
雲は世界をみまもっていたこと
時が流れても、なにひとつ変わっていなかったこと
永遠を信じられるくらいのうつくしさに
気づけなかった。
鐘の音が聞こえる。
終わりを告げる涙の音色だ。
あなたがいなくなる夢にうなされ
わたしは目を覚まして、ほんの少し泣いた。
窓から見える空のあまりの広さに
声をあげて泣いた。
(おぼえているのは
たしかに「あなた」がそこにいたことと
なつのおわりのにおい)
引き裂
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)