せめて/中山 マキ
 









あなたの無言は
あなたの背骨を通って
わたしの角膜を刺激する

まな板の上で切り刻まれる玉葱が
まるであなたのようで
思わず手を止める

せめて責めて
懺悔も出来ない裏切りが
放置されて乾いていく

わたしが泣くことは自慰に等しい
本当に泣きたいのは
あなたなのだ






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