風のギャラリー/梅昆布茶
 
時はいつも人を吹きすぎてゆく
ちいさな想いや願いを散り散りにして

もうあの時のうたは
二度とはうたえない
いちまいの絵のように
すでに過去のギャラリーに
展示されているのだから

それでも生きてゆく命があるのだ
様々な想いのままに船は行く
風がたったならば
進路をさだめねばなるまい

新しい風がどこへ吹くのかは
わからない方がよいのかもしれない

せめて
光の中にあるように
やさしい手触りでいられるように
ささくれぬように生きよう

この手の中に暖めてゆくものが
いつも通りあるように
それを忘れなければいいのだ

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