掌の花/
服部 剛
電気を節約するために
暖房のリモコンを
遠くに置いて
日がな布団に包まり
みの虫の姿で、本を読む。
外から帰り
しろい吐息をはく妻が
傍らに坐るので
火照った手を取り
少々疲れた、目にあてる
下の階で今頃、寝息を立てている
周の小さい手の蕾が
目を閉じた暗闇に
一瞬
ぱっ!と開いて、消えた――
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