伝説を撃つランチャー/ゴースト(無月野青馬)
 
「僕」の住む町
鍵降町には伝説がある
それは
空から延びてくる
絹の帯を滑って降りてくる鍵の雨の伝説だ


雨のように降ってくる鍵の1つ1つが
一人一人の、少年少女の、幼年期に入り込み
大人になってから
乗っ取ってしまうと云う


鍵は
芸術的思考を与えると云う
鍵に目覚めると
絵画を描き、楽曲を生み出し、小説を書き上げるようになるのだと云う


幼年期に入り込んだ鍵は
〈作品〉さえあれば
〈作品〉さえ世の中に提出出来たなら
孤立しない
そう思わせるのかもしれない


鍵降町には
鍵降りの日には
千の鍵が降ると云われている
そして
翌日に
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