うた/村田 活彦
ことばに かこまれすぎたので
うみに いった
なみが うたっていた
かぜが うたっていた
ぼくは くちを あけて
うたを すいこんだ
いみに おいかけられすぎたので
やまに のぼった
とりが うたっていた
ほしが うたっていた
ぼくは めを とじて
うたの なかで ねむった
からだを とおりすぎていく
たくさんの うた
たったひとつの うた
ぼくは うたう
なみや かぜを まねして
とりや ほしに あこがれて
メロディも リズムも でたらめなまま
ぼくは うたに なる
まっくらな
うちゅうの うたに
ぼくも いつか
かえっていく
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