夢の火 /
服部 剛
パスカルの「パンセを」を開いたまま
転寝(うたたね)をした、瞬時の夢の一コマで
見知らぬ教師は
黒板の上から下へ
まっすぐ白い線を、引いていた
そこで目覚めた僕ははっきり、識(し)った
じっと根を張る木として立つならば
ほんとうに大事なものは
日射しも、雨も
天から地へと
まっすぐ降るということを――
それから、僕の思念の暖炉には
もう消えることの無い
不思議な炎が
ひとの姿で囁くように
揺れている
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