シナモン/中山 マキ
 








共有出来ない秘密があれば
知らないことは減ってはいかない
誰かを傷つけないための嘘であれば
共有出来ないのも当たり前
秘密を隠すための嘘や
嘘を秘密にする真意
そもそも秘密と嘘の境界線は
空ろに過ぎないということ

誰かを陥れる事実には
美しい言い訳がないのに
自分自身を守る時
本能はいつも先回りしていると感じる
まるでレ・ドゥ・マゴの店員が
物知り顔で勝手に振りかけた
カフェラテに浮かぶシナモンのように
自由奔放なようでいて実はとても計算高いので
わたしは
口実の愛想がいい理由を探らない






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