雨糸/凛々椿
(心配、しないで)
手を絡める
舌が這う
異質が触覚を支配する
追いかける
余韻
雨の匂いがするんだ
朝から
曇っていて
ずっと
帰りのバスの道途中に
空き地に放置された証明写真機があるんだよ
それが不気味でね
と
あなたのはなし
黒い傘が 佇んでいる
(そうだね)
あなたの背後でずっと顔を 覆い隠してる
(不気味だね)
答えるふりをして 私の
視線は黒い
傘に
雨は
まだだ
昨日までは 晴れの予報だったね
いつものように
あなたは帰る赤いバスに乗って
知らない町へいつものように手を振る
笑顔が
網膜に残
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