/紅月
 
揺らめいているのが見えました、知らない人たちでした、)インクで汚れていく日記帳、文字が咲き乱れている、ね、(ふいに羽音が聴こえて顔を上げると煙る空にたくさんのオオスカシバが舞っていました、)火の粉、空から降り注ぐひかりの鱗粉、透明の翅、色褪せる水の深淵から数えきれないほどの羽音が溢れ、色濃い静寂が炎の喧騒する輪郭を舐める、白昼のさなか、




●eyes

外人の青い瞳の中に指を入れてかき混ぜるとします、赤い語彙が溢れますか、そしてそれをあなたは読解できますか、と、教授は私に問う、外人のことなんてなにもわかりませんなぜなら私が殺した人々はもはや外人ではないから、私の黒い瞳のしじまの
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