輝くひと/
服部 剛
引き出しの奥に置かれた、消しゴムは
単なるゴムの塊です
空地の叢(くさ)に埋もれた、車は
壊れた鉄の死骸です
消しゴムは白紙の文字を消しゆく瞬間(とき)
車は道路を走る瞬間
仄かに発光しています
ひとも誰かに求められ
天の望みに使われて
ひとつの道具になる瞬間
自ら発光させて
周囲のひとをも、照らすでしょう
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