機織り/そらの珊瑚
じゅうたんをほどいてゆく
いろとりどりの糸があらわれる
つむがれていた星々の
ものがたりがきえていった
糸をほどく
きぬの生まれでた
まゆにもどってゆく
蛾のはいた
むすびめのない一本の糸は
みずからのための棺をつくりあげたが
なきがらはどこへいったのか
何億匹の蚕が顔をあげて
葉を咀嚼する
音がする
ざーざーと
あれは雨のふる音によく似た
うたなのだ
みみをふさいでも満ちてきて
生きていくことに
あらがえない命のうたに
たどりつく
なきがらはどこへもいかない
じゅうたんを織り直せば
どこかあおくさい
匂いがして
ふたたび星がまたたきだす
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