冬至の日の夜に/くみ
 
奥まで染み渡る。

身体を動かすと湯が動き、ポチャンと音が鳴ると、湯の中で軽く手を握られ肩に顔を乗せてきた。

「逆上せる前には出ようね」

「ああ、そうだな」

一緒に風呂に入ると素直に話が出来るし、コミュニケーションも取れるとよく聞くが、逆に自分の場合は風呂場の中では素直に思っている事を口に出来ない気がした。
その言葉の代わりにそのまま彼に凭れかかれり、頬に唇を寄せてみる。
自分の今の表情は彼には見せられないなと思いながら、何となく気恥ずかしくなり思わず瞼をそっと閉じてしまった。

彼が南瓜を切れるように逆上せる前に風呂場から出さなければいけない。

柚子の爽やかな香りが浴室にまた更に広がった様な気がした。

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