冬至の日の夜に/くみ
行り始めたのは江戸時代の銭湯かららしい。
自分は毎年必ずという訳ではなかったが、元々湯槽に浸かる習慣もあったし、冬至だなと思い出した年には湯槽に柚子を浮かべて昔から続いているその風習を楽しんでいた。
「やっぱり湯槽に浸かるのはいいな。いつもシャワーばっかりだから」
「……うん」
「俺の部屋の風呂場はちょっと狭いからな。今日はちょうど良かった。そう言えばお前、毎年これやってるの?」
「あれ?言わなかったっけ?」
「うん。拘ってるのは入浴剤だけかと思ってた」
折角浸かるのだから逆上せないように適温に調整された湯。
湯槽の縁に腕を置いてゆったりと寛ぐ彼の様子
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