イノセント/中山 マキ
 







あの空に降ったのは
雪だったか、雨だったか
それはもう遠い昔のこと

だれかと手を繋いで
河川敷で空を見ていた
ただ何となく見ているだけで
そこに鳥はいなかった

喜びや痛みで形成される
わたしの時間は
わたしの意思とは関係なく進み行く

一進一退を繰り返し
年を重ねる毎に勢いを無くし
いつかこの土に還るのだろう

そして、土に還ったわたしは
何もなかった過日にさえ
懐かしい思いを馳せて
あの日の空を見ているのかもしれない





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