「印象ア」/宇野康平
 
森の中、投げ出された靴に活字の鬱を誘われ。

逃げ道は、誤ると蟻地獄に堕ちる自分を

ありありと想像でき、仕舞い込まれた心に

鍵閉める用意をする。

顔、顔、顔が泡のように確かではなく、

顔、顔、顔が石のように怒りっぽいの

で体育座りで部屋の隅で待ちます。

森の中、投げ出したのはどうやら私の靴のようで。

無くした靴を探すいじめれた子を後ろから眺めて、

振り返る子の、私の顔の無さに心は泡で、石で、

蟻地獄は私で、堕ちたのも私でした。


《劣の足掻きより:http://mi-ni-ma-lism.seesaa.net/
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