さよならの日に/凛々椿
 
夜明けを失ったネオン街の
交差点
理髪店のテレビモニターにそっと映される
無人攻撃機の視線と
閃光
子供たちの 消えた道
かわいそうね
退屈な声が風に歌う
長く生きられなかっただけだよ
気のない答えが赤信号を無視してゆく
鳴り急ぐサイレン
しんと冷えた空気に僕は
白い息を


君にいつか
父の話をしたかった
とても大きな存在を失った父が
僕と海に飛び込んで
死んでしまった 僕以外のだれも
知らない本当の話を
家に戻ると君が 
明日で3才になる娘と安らかな寝息で部屋を編む
そんな夢を見る


冷え切った部屋にひたひたと這う夜間飛行の音は
上空に向
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