【終わりと始まりと】詩サークル「群青」12月の課題「終」への提出作品/そらの珊瑚
取り出したばかりの粘土は
幾通りもの生を含んで
ぐにゃり
柔らかく在る
指で押せば
くぼみが現れ
手のひらで転がせば
丸を成す
いびつな複雑さは
魅力的である代わりにとてももろい
神がかつて
ほんの気まぐれに
人間を成形したように
粘土細工は
陽のさす
窓辺に置かれ
固まりつつ
無言で終わりへと向かう
中心に秘められた
ナニモノでもないナニカだった記憶も
ひとつ残らず
蒸発してしまえば
名づけられたモノとして
物語が始まってゆく
戻る 編 削 Point(20)