グラタンと呼ばれて/ブルース瀬戸内
星が眠る頃僕たちは起きる。
グラタン朝よ。起きなさい。
そんな母の声で目が覚めた
グラタンとは私の名である。
あのグラタンかとの質問に
真っ正面から答えてみたい。
そうだあのグラタンである。
熱々ホクホクでおなじみの
洋食の雄、グラタンである。
どうしてこうなったのかは
問い詰めないでもらいたい。
母や父は何も気にしないし
友人知人はいつもどおりだ。
なぜなら皆グラタンだから
というわけでは決してない。
私以外はグラタンではない。
正直なことを話してみるが
私以外が本当は何者なのか
私には見当がつかないのだ。
逆にいえばこういうことだ。
私がグラ
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