花となって競い合う/
小川麻由美
固いつぼみを こじ開けようとも
春を待たねば 時期早々
滲み出た 乳白色の液体が
フェルメールの「牛乳を注ぐ女」の
器に混ざり込み 静謐な
長方形の世界に留まってしまう
暖かさを待ちきれず
狂い咲きした 可憐な花は
冷気に耐えきれず
はかなくも舞い散り
未熟な種子をもうける
百花繚乱
温度計も浮き足立ち 伸びをする
一枚一枚の花びらが ほぐれ
花となって競い合う
そんな季節を繰り返す
ここが 私は好き
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