かみさまのガチャガチャ/一尾
て生まれて来たのだろう。
そこに仕舞われていた燦然の、もしくは空虚な中身を持ってこの世に落され、そして漂って行くのだ。駄菓子屋の景品を抱えた子供のように路地をうろついて、走ったり泣いたりして死んでいく。時折キラキラ光る硝子石の付いた美しい指輪を手の中に発見しては、舌先で舐めてみて味を確かめる。ただそういうのが見つかるのは稀で、渋い味の球体ガムばかり気が付けば口に入っていることの方が多いのかもしれない。私たちはそれを咀嚼しながら渋いな、と思う。そして、いつか舐めた美しい石を思い出したり、これから手にするかもしれない半透明に震えるビーズの首飾りのことを空想する。
生まれついてのあれやこれ。
選べない不自由はそういう遊びの酷さとして、許すことにしている。
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