邂逅/由木名緒美
あざやかな鮮血に染まったこの手でも
掴みとれるものがある
君の心臓を手の平に乗せ
その重みの振れる速さで
鼓動を聴く
とくんとくんと脈打つそれは
揺るぎない強さで君の感覚を支配する
怖れとともに
笑顔をゆるやかに包含して
涙を血潮に乗せた
静かな雨音のように
打ち終える果てを感じさせない今
燃えさかる命を宿して
この手は何度でも血に染まる
はかない管の先から滲み出る
枯れることを知らない希望という名の業
赤に染まる度
夕焼けに手をかざそう
空の色と重なる皮膚を透かす頃
君の手を取って
果てない祈りを口ずさんで
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