ねえ絨毯汚さないでよ/カマキリ
 
硝子の割れる音がした


誰かのこころまで押し入りそうな路線図を
複雑な顔をして見ている

ほっと息を吐いて本を閉じるその仕草が大好きで
マグカップの上の蜃気楼から
図書館まで続く遠い未来を
丸いテーブルに肘をついて想像している

くちびるから雫が落ちるとき、
なんだかしちゃいけないことまでめぐりそうで
無理矢理引っ張ってきたあくびを噛み締める

外した目線の行き先をどこにしようか思案中
透明な障壁に守られた僕の世界には
いつだって硝子の割れる音が響いている

たぶん、この振動に慣れてしまわないようにと
あの人はまたぱたんと本を閉じるのだ


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