葬式/……とある蛙
表情の少ない
甥と姪が泣いている
眼を腫らしてはにかんでいる
泣くことなど想像もつかなかった
山男の義兄が
もう少し生きて欲しかったと泣いている
葬儀の場は
涙の大きなプールで
葬儀が泣くものだと
今まで何十回も他の葬式に参列しながら
今の今まで気がつかなかった
昔
泣いている人たちが空々しかった
仕方なく泣いている人たちだと思っていた。
坊主は泣かない。
だが、坊主も生前の姉を
よく知る坊主だった
なんだか分からないが
くだらないことはやめようと思った。
でも、姉の顔を見ると泣けてきた
泣くのをやめようとしたが、
泣けてきた。
体裁だとか
気丈だとか
この場に形が不要なことを知った。
泣けない奴は泣かなくて良いが
泣きたい奴は泣けばよい。
しょうがないのだ、この場所は
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