俺たち/梅昆布茶
俺もたまに市の行事なんかに狩り出される
タクは中学がいちばん荒れた世代の申し子だ
でも俺たちは更生の事業家ではない
金ちゃんの店の片隅にタクの部屋はもうできている
うちであまってるエアコンも取り付ける予定で
仕事もあるていど目途はついているが
まだまだ調整が必要だろう
こういった連中のための社会の受け皿はまだまだ小さい
また俺たちがその役割の一部を担えるかどうかも未知数だ
まあいずれにしても結果がよければそれでいいと思っている
あまり逸れずにひとりで生きてゆけるようになればそれでいいのだ
人ひとりたおすのは武器があればあんがい簡単にできるのだろうが
人ひとり起こすには何を使ったらよいのだろう
それは時間をかけながらからだやこころで感じながら
答えを求めていくしかないのかもしれない
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