初雪/月乃助
 
{引用=
 少しためらい
端座する
永いあいだひらくことのなかった
古い三面鏡


 鏡のなかに生(お)う
まよいの雪雲は、ひろがり


 僕は、人らしくあろうとし、
どうしてか 答えを
真実らしきものをしりたがる


 美しい・もの・は、偽ることも
死ぬことも 嘲られることもない
人間(性)の実体 その世界を投影する鏡面に
母の乳房を欲するように 指をふれる


 人形のような少年が、鏡のむこう
命令的な指先に 彼の細い指でこたえた


 さびしい召使の眼なざしで、
沸(たぎ)りたつ 「時代」に集約されぬ
不在の者となるように、
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