20世紀最大の謎/こめ
欠ける月の裏側
隣にいた乗客は
溶けて灰になっていた
塞いだ耳の奥からは
もう一人の僕が囁いていた
雑誌の名前も知らない女が
此方に微笑んでいるのは
レンズ越しに何を見つけたからなのだろう
寒いからカーディガンを羽織
靄のかかる朝の住宅街を
ふらふらと歩いていた
別に行く場所や目的はなく
ではなんの為に歩くのだろうか?
答えを知りたくて下を向いて
何か落っこちてないかさがす
ラブホテルのピンク色の
蛍光灯は見ることの出来ない
未来形をボンヤリ照らす
靴と影だけが深夜の街灯の下で
踊り躍りオドル
思いを砕いて電子にのせて
南の方へ飛ばした
高層ビルの天辺で光 る
赤いメッセージ信号
それが何にめがけ何を伝え用としているのか
20世紀最大の謎だった
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