別れー姉弟3/……とある蛙
いつも言葉の足りない弟は
最後の別れの時も
死に顔を見ては泣き
姉の最後の痛みを知っては泣き
もう何の組み立てもなく
嗚咽しているだけの
図体ばかりが大きな
巨大な涙袋と
なってしまった弟
思い出すことは迷惑ばかりかけたこと
自分をそれなりに自慢してくれたこと
いつもニコニコしていて
でも兄との関係を
見舞いに行った病室で
まだ心配していたこと
来年の正月は必ず行くから会おうね
などと 約束したこと
木枯らしが初めて吹いた晩
何一つ
約束を果たせず
棺の前でめそめそしている弟
もう初老といってよい年なのに
子供の頃と変わらない
泣虫で弱虫な弟
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