私のいた場所/番田 
 
もはるかに多い。だが、しかし、もう子供の頃のような時間など私には残されていない。わかりやすい話だ。今は商品を出せば売れるという時代ではない。そしてやはり名の通ったブランドの服を着たいと誰もが思う。服を購入するにしても手に取るとユニクロやGAPが雑だというのがよくわかる。しかしなかなか、百貨店のブランドものは手に入れることができない。ファストファッションははさみをあまり入れない近所の美容師のこなしの仕事のような感じもする。通りを歩けば私は印象に残らない服を着こんだ人たちが歩いているのを見かけた。しかし私にはユニクロを着るしか方法が無い。あまりに、理想とは遠い存在なのだ。そして信号待ちの時誰かが口にした「どこの欧米?」という強烈な言葉を覚えている。店で簡単に手に入れることのできる、外人の履いている綺麗な黄色い靴。信号待ちのとき後ろの誰かが口にした感覚的なその言葉。そして彼氏であるかのように赤いセーターを着て、モデルでもなく恋人でもない女を撮影している男のカメラを思い出す。

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