架空のやさしさ/
あたらしい名前
「だけど もうだめかもしんない」
約束された街並みと人のなかで
僕だけが曇っている
もうすこし歩いて
踵を鳴らしたり
つま先で立ったり
よろけて照れ笑いしたり
立ち止まったり
ほんとはしたいんだ
でももうだめかもしんない
脚は疲れて僕を見捨て
勝手に雑踏へと消えていった
目も片方濁ってるし
もう片方は鳥に喰われた
からすじゃなかったな
もっとちいさく
優しそうな鳥だよ
優しそうな世界は
思ったほど私に優しくなかったよ
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